2010年03月13日

バックパッカーは見たっ! 〜続き〜

・・・前回からの続き。

 翌日はお富さんで朝ごはんを頂いて、浜田さんと取り留めのない話をしていると、11時過ぎぐらいになっていた。
 「約束の時間を大幅に超えてしまった・・・」、慌ててリトルトーキョーへと向かい(お富さんからだと所要10分から15分ぐらい)、宿の表玄関の前まで来た。

 後から考えれば、この大幅な遅刻が命拾いに繋がっていたかもしれない。
 一回目のブザーでは誰も応答に出てくれなかった。二回目のブザーを鳴らしても応答はなかったが、5分ほど待つとアジア系の男がドアの向こうから飛び出てきた。てっきりドアを開けに来てくれたんだと思ったが、その男は「Do you have the key?」と一言僕に聞き、「No」と答えるとそれっきりそのまま外へ出て行った。
 とにかく中へ入れたので、すぐの階段を上がった。廊下を見渡すと、中国人住人がちょうど部屋から出てきたところだったので、「チェックインしに来たが、管理人はいるか」と英語で尋ねてみた。
 管理人が寝泊りする部屋にいるのではないかと言われ、そこを訪れたが、ノックをしても応答はない。その中国人住人もまた部屋に入って行ってしまったので、いったいどうしようと、困ってしまい、また元の階段のところまで戻ってきてしまった。
 昨日予約のときに聞いていた管理人室を思い出し、そこのブザーを鳴らしてみる。何回かノックをしてみる。やはり応答がない。思い切ってドアノブを回してドアを押してみると、意外なまでに簡単に開いてしまった。鍵が閉まっていなかったのだ。
 そして「すいませーん・・・」と言いながら二つある部屋の奥の方を覗き込むと、僕の頭を一瞬で真っ白にしてしまうような、そんな漂白剤のような光景が目に飛び込んできた。。

 血だらけの女性が仰向けで、少しこちら側を向いて倒れていたのだ。

 ハッキリ言って行動力を奪われた。というか、一回ドアを閉めてしまった。何か見てはいけないものを見たような気がしたのだ。何が起こっているのかわからなかった。そして何をすればいいのか分からなかったし、天から何か重大な任務を負わされた気がした。

 とにかく現実をしっかりと受け止めねば・・・

 中に入り、その女性をよく見ると、口元から首筋に掛けて鋭い切れ込みが走っている。血まみれの原因はそこから始まっているのだということなどはすぐに理解できた。だが、これがまさか殺人だとはそのとき微塵も感じられなかった。
 なぜなら女性はまだ息があったし、動いていたから、おそらく足を滑らして、こけてしまい、何かの破片で切ってしまったのだろうと思ったからだ。
 そのときその女性が大山さんだと判断できるのには数分時間が掛かった。顔は別人のように膨れ上がっていたのだ。とにかく何て声を掛けたのかは覚えていないが、その女性はまだ意識があり、声は出なかったが必死で「911,911(ロスの救急車)」と言っているのが分かった。
 いったん部屋の外へ出て、しどろもどろしていると、その宿の住人である日本人男性がちょうど外から戻ってきた。とにかく事情を説明すると、その日本人も信じられないような顔をして、慌ててオーナー(中国系ミャンマー人)の部屋をノックし、オーナーに救急車を呼んでもらった。
 オーナーが大山さんの姿を一目見ると、すぐに眉にしわを寄せ、「あぁ・・・」と声にならない声を発した。。
 こうして僕はこの事件の第一発見者となったのだ。(ロサンゼルスチェットウッドホテル殺人事件)

 数分後に現れた救急車に担架で大山さんが運ばれるのを見届けると、いくらか安心した。。しかしその安心感を無意味なものにするような知らせがさらにその数分後に警察の方から言い渡された。

 搬送先で大山さんは亡くなったのだ。

 この事件について警察は殺人事件であると断定した。ハッキリ言って、そんな事件があったあとにこんなところに泊まる気は全くなかったので、すぐにでもその日のための宿を探す予定だったが、ロス警察は僕を放そうとはしなかった。第一発見者というのもあるし、やはり多少なりとも疑われていたのだろう。
 とにかくしばらくはこの宿にいるようにと命じられた。普段は物静かであるこの宿もこの事件がきっかけで毎日のように住人同士でこの事件に関してのいろいろな噂話をするようになった。

 「あの中国人は怪しい・・・。」「金のトラブルが原因らしい・・・。」「犯人は205に泊まっていた日本人で、バッグには死体をもう一体持っていたらしい・・・。」

 とりあえずどうでもいいから、早く犯人を捕まえてくれっ!!という気持ちでいっぱいだった。しかも一番犯人として怪しいのは僕が一番最初に表玄関の前で待っていたときに扉の中から出てきたアジア人。怪しいというか、もうその人しかいないだろうと思った。僕が発見したのは午前11時40分ごろ。他の住人が元気な大山さんと最後に話したのは午前10時半頃。その1時間とちょっとの間に犯行が行われたとしか考えられない。
 その時間帯のアリバイを住人の全員に確認すると、残るはその表玄関から出て行ったアジア人の男しか考えられないのだ。そんな犯人として一番怪しい人物に顔が割れているのは僕しかいないのだ。。
 この宿で何泊かしているうちに、その犯人が僕を殺しに来る可能性だってあるわけだ。。


 だが、それから10日後ぐらいに犯人は逮捕された。
 警察からの情報によると、しばらく(1ヶ月ぐらい)この宿に宿泊していた中国人が犯人との事。
 動機は宿泊代に関するトラブル。犯人はギャンブルの常習者で、お金に関してだらしのない人だったようだ。
 ただ警察はそれ以上詳しいことは教えてくれず、犯人がその一番最初に僕が会ったアジア人だったかどうかはよく分からない。

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 犯人が捕まるまでの10日間、全く外に出られないわけではなかったので、それなりにロスの街やその近辺をいろいろと観てまわった。

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 サンタモニカのビーチ、ダウンタウン、ハリウッドの町、そして2泊3日のラスベガスツアーと同じく2泊3日のサンフランシスコツアー。。

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 だが、いつも宿に帰る時は何となく憂鬱になってしまう。。

 あの宿に戻るのか・・・。

 そんなこんなで、僕にとってのロサンゼルスは負のオーラが漂った町として印象付けられた。

 大山さんに関しては本当に残念であったが、とりあえず犯人が捕まって良かったし、大山さんの他にも怪我人や犠牲者が出なくて、本当によかった。
 とにかく、旅中にこんな体験が待っているなんて思いもしなかった。この事件は僕の旅の中でも一番のインパクトがある事件だった。。

<ロスダウンタウン中心街>
P1070364.JPG

<サンタモニカにて>
P1161480.JPG
タグ:世界一周
posted by SAMURAIちゃん at 00:00| Comment(7) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
殺人事件の第一発見者って...
読んでる自分も背筋が凍りました...
他の被害者が無く、犯人がつかまって何より。
Posted by タケ at 2010年03月13日 08:28
タケさん>>コメントありがとうございます!マジおしっこ出そうでした。いまどこっすか〜〜??
Posted by おかべっち at 2010年03月13日 10:45
ネットでニュース読んだぞ!!
人事と思えずすごいショックだった。
大山さんが亡くなったのはホント残念だけど
とにかく事件に巻きこまれなくて良かったな。
とりあえず無事に帰ってこい!!!
Posted by 横ちん at 2010年03月14日 00:05
第一発見者?!そこに留まっていなければならなかった10日間、気が気じゃなかったでしょうね。。。事件に巻き込まれなくてよかったね!!!亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
Posted by Mari at 2010年03月14日 00:21
横ちん>>コメントありがと!!おおっ、何とか無事に帰るよ。。帰ったらこーらくセブンで日替わり定食食いに行くから待ってろよ〜。

Mariさん>>コメントありがとうございます。。一番怖かったのは夜風呂に入っている間、目をつぶってシャンプーしてるときでしたね・・・。ホント悪運にすがりつきながら旅して、なんとかここまでやってこれてます。
Posted by おかべっち at 2010年03月14日 13:36
はじめまして!
34歳のおっさんです。(笑)

本当に大変な目に遭いましたね。
私は10年ちょっと前の大学生の頃、旅行でLAを訪れ、チェットウッドホテルに泊まりました。その頃は、確か日系ブラジル人のおじさんが管理人をしていて、とてもよくしていただきました。
その後は無事に帰国されたのでしょうか?
幸運をお祈りします。


Posted by たかし at 2012年09月26日 21:08
はじめまして。

もう4年も経っているものの、大山さん殺害事件の第一発見者の方がコメントされているのが検索で見つかり、唐突ですが投稿させていただきました。

90年代、私が大学生だったころ、チェットウッドホテルは宿泊したことがないのですが、チェットウッドの斜め前?にあったホテル加宝に何度も滞在し、A加宝のマネージャー大山さんと親しくさせていただきました。

南米旅行の帰り、タンゴが好きだということで、おみやげにアルゼンチンタンゴのCDを差し上げたり、
リトル東京のヤオハン(当時)へ一緒に行って買い物を手伝ってあげたこともあります。

いつの日かまたロサンゼルスに戻ってお会いしたいなと思っていたのですが・・・

それにしてもすごい災難でしたね。一生忘れないでしょうね。

大山さん、ご冥福をお祈り申し上げます。



Posted by tsuyoshi at 2014年03月20日 21:13
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